バスのあー坊

今を遡ること十三ヶ月程前、私は風に誘われてとでも申しましょうか、蒲田の地に辿り着いた風来坊であります。

以前より歌うことが好きではありましたが、合唱の「が」の字程も知らない私は何をどう誤ったのか携帯電話で「蒲田合唱」などと検索し気付いたときには見学をメールでお願いしていました。

いざ見学に行く日、私は未だかつて触れたことのないものに触れることへ強く身構えていました。行くのよそうかななんて考えもあったと思います。しかし折角の機会だし、嫌ならやらなきゃいいしと意を決し見学へ向かいました。

やや緊張気味の私に団の方がどうやってうちの団を知りましたか、パートは?などと訊いてくれましたが、私は合唱にはパートなるものがあるのかと気が付かされ、より合唱なるものとの距離を感じていたように思えます。しかしその日の練習風景は新鮮でとても楽しそうに私の目には見えました。

翌週も見学に出向き、指揮の先生に入団するのと訊かれ、流れのまま、「はい」と返事をしたとき、団の皆が拍手で歓迎してくれました。私は楽譜もまともに読めません。霧の中といってもおかしくない世界へ足を踏み入れる緊張と、拍手って気持いいなぁなんて緩和が交錯してました。

あれから一年以上の年月が経ちました。四回ほど本番の舞台にも立たせてもらいました。入団当初から習うことも多く、足を引っ張ることも多々ありますが、先生方や団員の皆の懐の深さのお陰で徐々にではありますが、充実した瞬間も増えつつあると思います。

ダイアファナスに入団し私が学んだのは、音楽的なこともありますが、それよりも、懐に飛び込むということでした。甘えのように聞こえるかもしれませんが、知らない世界へ飛び込むのに自分のこれまでの経験や先入観など小さなもので、ときに視野を狭めるものになってしまいかねないようです。

もし合唱をやってみようと考えてる方、これを読んでしまった方、少し飛び込んでみてはいかがでしょうか。新しい世界が待ってるかもしれません。
お気軽に見学に来てみてください。